るうてる《福音版》 2009年 6月号
バイブルメッセージ 伝言、確かに受け取りました
神がわたしたちを救い、聖なる招きによって呼び出してくださったのは、わたしたちの行ないによるではなく、御自身の計画と恵みによるのです。(テモテへの手紙二 1章9節)
日本聖書協会『聖書 新共同訳』
いろいろな年齢の方と伝言ゲームをしたことがあります。
幼稚園のお友だち。鼓隊の練習をがんばりました。流れてくる音楽に合わせて大太鼓、小太鼓、鉄琴、キーボードを演奏しました。先頭を歩く指揮者もお友だちです。鼓隊の後ろにはバトンのお友だちもいます。おそろいのベレー帽とベストが素敵です。立派にパレードができました。
その翌日です。「伝言ゲームしようか。初めてだね。まず、先生がみんなの列の先頭さんに言葉を伝えます。先頭さんは、うしろのお友だちのお耳のところで小さい声で伝えてね。そして、いちばんうしろのお友だちは、どういう言葉がまわってきたか覚えていてね」。わたしはお題を出しました。「きのうのパレード、かっこよかったよ」。先頭のお友だちは一生懸命にうしろのお友だちに伝えました。順番が待ちきれない子もいました。すべてのグループが最後まで伝えられました。いちばんうしろのお友だちが聞いた言葉を一緒に言ってもらいました。「きのうのパレード、かっこよかったよ」。みんな、大正解です。
小学生のお友だち。少し長い文章の伝言ゲームでも大丈夫です。「きのう、隣りのようこちゃんのお庭にアジサイの花が咲きました。ピンク、むらさき、白色の花でした」。多少、聞き間違えて後ろのお友だちに違ったことを伝えるグループもありましたが、大筋は最後まで伝えることができました。
大学生の学生さんには、絵を書いて伝える伝言ゲームをしました。お題は「カッパ」です。絵本で見たことがあるような、ないようなものです。頭の中でだいたいの形を思い浮かべることができても、実際に紙の上に書いてみると自信がなさそうです。書かれた絵をすぐ後ろの人だけが見ます。「カッパ」の絵であることが伝われば万々歳。けれども、あいまいな記憶の者同士が伝えるものですから、なかなかうまくいきません。とうとう目が強調されていきました。手足が短くなりました。最後の学生さんが書いたのは、「トカゲ」のような絵でした。
わたしがイエス様のお話を始めて聞いたのは中学生の時です。多分、わたしが聞いたイエス様のお話は、2000年前にユダヤで人々が経験したことと同じだと思います。イエス様のお話は『聖書』に記されました。『聖書』の言葉は時代を越え、国を越えて伝えられました。2000年前の出来事が今、わたしの心に届けられています。とても不思議です。
わたしの心に確かに届けられました。「神様はわたしを愛してくださっている」ということを。
M
十字架の道行き
【第十五留】イエス、死から復活する ルカによる福音書 24章5~6節
【祈りの言葉】
イエスよ、あなたに信頼し、あなたへの信仰にあって十字架を担い行くことを、私に教えてください。キリストの十字架をたどった私たちが、日々の生活の中で、あなたに倣い、福音を宣べ伝え、ついには永遠の復活の喜びにいたることができますように。
ネパールワーカー楢戸健次郎先生 ナマステ、サンチャイチャ
Q. チョウジャリ病院に来る方は、どういう患者さんが多いですか?
A. 子どもでは栄養失調、下痢、脱水、肺炎、骨折、やけど。大人では種々の怪我、結核、肺炎、難産の患者さんが多いです。どんな病気もありますが、貧困と関係する病気が多いようです。貧乏と医療機関が遠いこと、それに住民の衛生に対する知識が少ないためでしょうか、手遅れのケースが大分あります。
Q. 患者さんとのコミュニケーションはどのようにとられていますか?
A. まだまだ勉強中ですがネパール語です。うまく意思疎通ができない時には英語のわかるスタッフに通訳してもらっています。
Q. 日本に比べて人口に対する医師の人数が大変少ないですね。
ネパールでは医師になるために、どのような道がありますか?
A. ネパールは小学校5年、中学3年、高校2年の10年制です。高校2年を終了してから全国規模であるSLC(日本のセンター試験)を受け、それを通らないと職業学校には行けません。準医師になる場合は、職業学校に1年間行き、学校によりますが4ヶ月~半年の実習をします。そのあと国レベルの試験があります。それに受かると準医師になれます。だいたい7割くらいの合格率です。
Q. 準医師から医師へなっていくのですか?
A. そうではありません。準医師は高卒でなれますが、医師になるには4年半の医学教育が必要です。それを通らなくてはなりません。受験資格は10+2(テンプラスツー)と言って、高校を終了してからあと2年間生物系の勉強した者に与えられます。
今、正規の医師(MBBS)がネパールでは7000人弱います。人口が2700万ですから、人口対比でいくと5000人に対して医師1人くらいです。日本は500人に対して1人です。10分の1です。そして医師は都会に集中しがちです。ネパールには75郡あるのですが、田舎では人口5万人に医師1人とか10万人に1人と、少ないのです。
ネパールには12か13の医学部がありますが、国立は1つです。他は私立で、学費はとても高いのです。卒業するまでに日本円で400万円ほどかかります。日本の価値に換算すると1億円くらいです。ネパールのGNPが250ドルくらい(日本は3万ドル)の世界ですから、相当のお金持ちか特定階級の人でないと入れません。そのために、外国で医師の資格を取る人が少なからずいます。ロシアや中国、バングラデシュ、インドといった国のほうが学費は安いのです。ロシアでは1年間10万円で医学の勉強ができるといわれています。6年間学んでも60円万です。
またネパールの私立大学は半分以上がインド資本で、教授陣もインド人、学生の多くもインド人です。ネパールにあるといっても、インド人によるインド人の学校同然です。そして卒業後はインドに戻っていくのです。大国インドにしてみれば、ネパールは自国の一部のように思っているのかもしれません。
(つづく)
毎日あくしゅ
「先生、ご相談が……」と突然4歳のたくや君のお母様が園長室に入ってこられたのは、数年前の春でした。唐突に「先生、実は私乳がんになってしまって……。でも心配しないでください。わかった時点で家族みんなで話し合いました。治ることを信じて治療を続けて、経過を見ながら手術をしようと思います。ただ、たくやのことが心配ですから、何かあったときにはすぐに教えてください。それから幼稚園の行事に全部出たいので年間行事の日にちを詳しく教えてください」。淡々と気丈に話すお母さんは大きな不安に直面しているとは思えないほど冷静な様子でした。その時は「お母さん、神様に祈りましょう」というのがやっとでした。
その後のたくや君は、お母さんの治療が進むにつれ、留守番が続いたり、お母さんが横になるのを目にする事が多くなり、日頃のいたずらがすっかり影を潜め、元気のない日々が続きました。その頃から誰もいない園長室でたくや君とお祈りすることが日課になりました。「大好きな神様、今日もたくや君のお母さんのそばに一緒にいてお母さんを守っていてください」。これだけの短いお祈りでしたが、毎日たくや君との静かな祈りの時が続きました。
その後たくや君のお母さんは、運動会・遠足・クリスマスとほとんどの園の行事に参加されながら、手術を受けられました。無事手術を終えて退院する日の朝、お母さんから電話をいただきました。「先生、毎日たくやが神様に祈っていてくれたので、とても励まされました。私はクリスチャンではありませんが、祈っていてください。たくやは赤ちゃんの時からずっとおっぱいが大好きな子です。今晩帰って一緒に寝るときに、ママのおっぱいがなくなったことをどう伝えてよいのか今とても不安です。だから今日も祈っていてください」。
新学期、いつものたくや君のいたずらっぽい元気の良い声が玄関から聞こえてきました。これからも、神様に祈ることを幼い子ども達にしっかりと伝えていきたいと思います。
(園長)